コラボバッグ発売記念 片山右京インタビュー

【dad'cco(ダディッコ) × Team UKYO】コラボバッグ発売記念 片山右京インタビュー

元F1ドライバーであり、登山家であり、自転車競技選手である片山右京さん。
彼が率いるTeam UKYOのオフィシャルバッグとして、ダディッコが選ばれました。
それを記念して、これまであまり語られることのなかった「片山右京の子育て観」をインタビューしました。
(インタビュアー:ダディッコ/(株)アップデイト代表取締役社長 齋藤路子)

(Interview01.)心の扉を開けるのは、親だけじゃない

片山右京インタビューの様子
齋藤:
右京さん、お子さんはお二人でしたよね?
片山:
はい、上が男の子で下が女の子。
もう長男は20歳過ぎて就職していますし、長女も大学生なので「子育て」というのは終わっていますね。
齋藤:
このインタビューをするきっかけとなったのは右京さんのFacebookでした。普段はご自身の自然な思いを話されることが多いですが、先日息子さんに関する投稿が話題になっていましたね。
「心の扉を開けるのは、親だけじゃない」っていう…あれ。あれはどういったお話なんですか?
片山:
息子は僕がF1現役の時だったので、日本で生まれて、モナコでおっぱい飲んで、フランス語と英語で幼稚園に行っていたような感じなんです。引っ込み思案な面が強い子だったので、そんな環境下でも人と話すよりコンピューターと遊んでいる方が楽しかったようで…。4歳頃からパソコンをいじって喜んでいました。
齋藤:
今は、システムエンジニアとして活躍されているんですよね?
片山:
はい、そのきっかけを作ってくれた話をFacebookでしたんです。彼が高校最後の時の話なんですが、僕が帰宅したら机につっぷしてすごい泣いていた時があったんですね。そんなに感情を表に出す子じゃないので「どうした?」って聞いたら、「やっとフォルダが開けたんだ」と。
齋藤:
フォルダ?パソコンのファイルフォルダですか?
片山:
そう。彼にはインターネット上で親友というか、先輩がいたんです。会ったこともない10歳年上の男の子。学校のこととか、将来のこととかのいい唯一無二の相談相手だったようです。それなのにある日パッタリその子から連絡が途絶えて、どうしたんだろうって思ってたら、その子のお母さんから彼にメールが…。
「ハンドルネーム“友人A”は、交通事故で亡くなりました。あなたに渡したいと息子から預かっているフォルダがあるので送ります」って。
齋藤:
それが開かずのフォルダだったんですね。何が入っていたんですか?
片山:
あんなにパソコンが得意だったのに、息子はそのパスワードを解くのに4年もかかったんですよ。開けてみるとそこには一言メッセージが入っていたそうです。
「やっと開いたね。このパスワードが解けたなら、もう大丈夫。君は立派に社会でシステムエンジニアとしてやっていけるよ。」って。
それ聞いて親の無力さを痛切に感じました。どんなに親が一生懸命やったって、その話を聞くかどうか、相談に乗れるかどうかは受け取り側の問題なんだって。
「親はなくとも子は育つ」ってよく言いますよね?子供にとって、導いてくれるのは決して親だけじゃないんだな、と実感しました。
齋藤:
その“友人A”君が、息子さんのおぼろげで、自信を持てずにいた夢の後押しをしてくれたんですね。
娘さんも小さい頃からとにかく絵を描くことに没頭して、今でもその道にしっかり進んでる。右京さんの血筋を引いて、お二人とも自分の夢にまっすぐなんですね。どちらかをモータースポーツの世界に入れたいとは思わなかったのですか?
片山:
そんなこと思った時もありました(笑)でも、めげた!お互いに(笑) 僕にとっては女の子といるより200kmで走ってる時の方がアドレナリンが上がったんですが、子供たちの琴線に触れるポイントは違ったみたいですね。
齋藤:
今、お子さんたちに望んでいることはありますか?
片山:
娘がね…、小学校高学年になってから一緒にお風呂に入ってくれなくなっちゃって…。ほら、モデルさんとか、「お父さんと22歳までお風呂に一緒に入ってました〜」とか言ってるじゃないですか。なのに…!
齋藤:
右京さん…、それ、当たり前ですから…。あきらめてください、そろそろ(笑)

(Interview02.)片山右京チャレンジスクール

片山右京インタビューの様子
齋藤:
右京さんは子供たちを集めて定期的に『チャレンジスクール』というものを開催していますよね。これを始めたきっかけは?
片山:
『Make A Wish』っていうアメリカのボランティア団体があるんです。難病と闘う子供が持つ夢の実現の手伝いをするっていうものなのですが。僕がまだ30歳前後でバリバリ現役ドライバーだった頃、その日本支部から僕にオファーがありました。白血病の17歳の男の子で「右京に会いたい」っていうのがお願い事でした。そこで会いに行った時に、僕はその子に「あきらめちゃダメだよ」って言ったんですよ。何にも考えもなく、簡単に。
齋藤:
「あきらめない」っていうのは、右京さんのチャレンジスピリッツの根幹ですよね?
片山:
本気でそう考えるようになったきっかけが彼でした。僕と会ってから程なくしてその男の子は亡くなってしまったのですが。
「僕は、今死ぬけど、あきらめちゃうから死ぬけど、右京にごめんって謝っておいてね」って僕に伝言を残してくれました。すごいショックでしたね。「あきらめるな」ってなんであんなに簡単にいっちゃったんだろうってすごく後悔しました。
『Make A Wish』からはそれから次々と依頼がきました。でも、どの子と接しても僕にできることは本当にちっぽけでした。これを1つ1つやっていくことも大事なことだけど、他に何か方法はないんだろうかと考えました。僕がやることは微力だけど、無力じゃない。できることしかできないんだから、できることを作ろうって。
それが自立支援のビジネスモデルでした。思い立ってからいつの間にか20年もたちましたが、形を整えながら継続すること、その子たちが自ら立ち上がって社会性を身に着けることができるような仕組みにすることが大事だと思います。
齋藤:
チャレンジスクールでは具体的にどんなことをされているんですか?
片山:
山登り行ったり、キャンプに行ったり。山には何でもつまっているんです。人間が生きていく上で必要な、食べる・寝る・歩く・協力する・考える…色々。
他には集中力を高める「あきらめない」ってプログラムがあるんですが、地面に富士スピードウェイのサーキットコースを書くんです。そこをとにかく反復して走る。最後に「失敗してもいいから全力をつくしてみてごらん」って子供たちに言うでしょう?
そうすると、100%みんなベストタイムを更新するんですよ!小さくていい、1つゴールをクリアしたらまた次に行ける。だから「あきらめない」ってすごくチャレンジングで大事なことだと思います。
齋藤:
子供達から教わることも沢山ありますね。
片山:
子供たちの柔軟性は、僕もいつも皮膚感覚で感じていたいと思います。チャレンジスクールには親も一緒に参加してもらうプログラムもあるんです。いつもちゃんとしてる大人のお父さんが、ボロボロになって挑戦してる姿が一番子供達には効く。
もっと親のことを好きになるんです。だから、体裁なんて気にしないで子供の前ではあきらめないで挑戦する親の姿を見せてあげてほしいな。

(Interview03.)片山右京がダディッコを通して伝えたいこと

片山右京インタビューの様子
齋藤:
最後にこれから親になる方、今子育て真っ最中の方にメッセージをお願いします。
片山:
家族って素敵ですよね。人を好きになって、結婚して、 子供を作る。今は独身を通す人も多いけど、できればそうやって家族を持ってほしいと思います。家族ができることで、人を支えること、次世代に伝えること、自分の欲なんかより大切なものがこの世にはあるんだってことを心から感じられるようになるから。
齋藤:
右京さんはいつも自分のゴールに向かって誠実に真剣に前に進みながら、周りの人も一緒に応援して支えてますよね。今、目標地点のどのくらいにいますか?
片山:
50歳過ぎて、半分くらいはできたかなって感じです。でも、そこが頂上だと思って一生懸命登ったのに違ってることって往々にしてあるじゃないですか。僕はとにかく自動車でも、自転車でも、山でも、日本一になりたいと思っています。影響力を持つことで、伝えられることがあるから。
齋藤:
今の最大の目標はやはりエベレスト登頂ですか?
片山:
必ず再挑戦したいと思っています。言葉じゃなくて、50歳のおじさんが挑戦する姿はきっと言葉で語る以上の意味があると思うから。

片山右京

1963年5月29日生まれ。神奈川県相模原市出身。
レーシングドライバーで、元F1ドライバー、登山家、自転車競技選手。相模原市の名誉観光親善大使も務める。現在は、数々の自転車レースに選手として参加。登山家としても世界の名立たる高峰登山への登頂記録をもつなど、自然と向き合いながら、地球にやさしい環境創りを提唱、クルマや自転車を軸に積極的に取り組む。

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